『街角ハルシネーション 探偵AIのリアル・ディープラーニング』
早坂吝
この作品はWebマガジン「yom yom」で連載されたのち、大幅な加筆、修正を加えたものです。
令和8年5月1日発行
新潮文庫nex

1枚の風景写真。Pasta Itallyのテラス席、6本指のウェイトレス、スパゲティを吐き出す客、そして奇妙な転び方の男が写っていた。育成AIの幻視(ハルシネーション)そっくりな風景だが、確かに現実の風景らしい。探偵のAI・相似とともに写真の調査に出た輔は突如、犯人のAI・似相に襲撃される。はたして相似は、すべての謎を解き、相棒を救出することができるのか。育成AI時代の本格AI探偵推理バトル。
シリーズ5作目の本書は、育成AIの様にみえる風景写真が本物の写真であることを証明する相談から始まる。捜査中に輔は似相に誘拐される。置き去られた相似は、すべての謎を解くために孤軍奮闘するが……確かにスケール的には壮大な話だけれど、これを「本格」と位置づけて良いのだろうか?
むしろ、冒険活劇にジャンル分けされるのでは?確かに「推理」はあるけれど、何となく小粒な印象でしかない。かといって面白くないわけではない。いや、むしろ面白く読めた。ただし、この作品単独では推すめ出来ない。シリーズを通して読まなければ解らない部分が多い。シリーズ読者には楽しめる作品である。