「X」が何故か使えなくなったので、
読書の感想を書いていきます。
『検事の信義』
著者 柚月裕子
解説 志水辰夫
角川文庫
令和3年10月25日初版発行
「検事・佐方貞人シリーズ」
所謂、「司法ミステリー」ではあるが、
特にトリッキーな仕掛けがある訳でもないし、論理的推理がある訳でもない。
ただただ佐方貞人検事の信念「検事の責務は、罪をまたっとうに裁かせること」
に沿ったストーリーを描く短編集である。
どの作品をとっても、その軸はぶれることがない。
そして、作者の人の心に響く文章は相変わらず上手い。
「清濁併せ呑む」ことの出来ない愚直なまでの佐方貞人の再捜査に反発を感じる矢口検事の登場等、人間関係を描く事も上手い。ほんの些細な引っ掛かりから真相を炙り出す様も鮮やか。
このシリーズは誰に勧めても満足してもらえるであろう。