『可燃物』
四六ハードカバー
二〇二三年 七月二五日 第一刷発行
二〇二三年十一月三〇日 第ニ刷発行
帯の裏面にはデカデカと
本格ミステリ×警察
と書かれている。
県警捜査第一課
葛警部の推理
『このミステリーがすごい!2024年版』の本書解説で、『第三の時効』を比較対象として挙げているが、そこまですごいか?というと少々物足りない。
それでも一気読みさせられたのは、やはりさすがとしか言いようがない。
表題作の「可燃物」には、正直不満がある。
動機をメインに扱っているのだが、その動機では弱いと思えたからだ。もっと言えばそんな動機でこういう犯罪を犯すか?と思えたのだ。
本作には「崖の下」「ねむけ」「命の恩」「可燃物」「本物か」の5篇が収録されているのだが、どの短編をとってみても葛警部の推理には無理矢理感がある。
どうも不自然さが気になってしまうのだ。
ただこの作品集の中では「命の恩」が、推理として面白いし説得力がある。
但し、この1作をもって『第三の時効』と同等とみなすのには承服しかねる。
けれども、ミステリー初心者には面白く思えるかも知れない。
想定したハードルが高すぎたのかも知れない。