『体育館の殺人』
青崎有吾
解説:辻真先
2015年3月13日 初版
2023年2月10日 18版
本作は、第22回鮎川哲也賞受賞作であり、作者:青崎有吾のデビュー作である。
学内一の天才、アニメオタクの駄目人間:裏染天馬がその精緻な推理を組み立てる「本格ミステリ」であり、裏染シリーズの第1作目でもある。
作者は、「平成のエラリー・クイーン」と呼称されている。
詰まりは、純粋なパズラーなのだが、これがまた書くのが難物である。
何故ならば、作者はその作品を書くにあたり徹頭徹尾フェアな作品を求められるからである。
風ケ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。しかも密室状態で……
名探偵(?)裏染天馬がその謎を解き明かす。
こういったパズラーには、論理に重点を置くが故に登場人物が無味乾燥な操り人形になってしまうきらいがあるが、本作では登場人物が生き生きと描かれ愉しく読める。
そして肝心の推理も鮮やか。
何を書き何を書かないかといった塩梅も上手い。