『『クロック城』殺人事件』
解説・有栖川有栖
講談社文庫
第24回メフィスト賞受賞作
本書は、2002年3月小社ノベルスとして刊行されました。
2007年10月16日 第1刷発行
2024年2月15日 第8刷発行

終焉をむかえつつある人類の世界。探偵・南深騎と菜美の下に、黒鴣瑠華と名乗る美少女が現れた。眠り続ける美女。蠢く人面蒼。3つの時を刻む巨大な時計。謎が漂うクロック城に二人を誘う瑠華。そこに大きな鐘が鳴り響いたとき、首なし遺体が次々と現れた。驚愕のトリックが待つ、本格ミステリ。
本書は、第24回メフィスト賞受賞作にして、作者のデビュー作である。講談社ノベルス刊行時、解決部分が袋とじになっていた。
北山猛邦は、今どきのミステリ作家には珍しく物理トリックを得意とする。
本作も、ご多分にもれず大胆な物理トリックが仕掛けてあるが、本作の眼目はそれ以外の推理部分にある。本書以前の特殊設定ミステリは、異世界を舞台にすることで読者の認知能力を(結果として)低下させ、「この世界ではこういうことが起きるのが必然でしょう。あらかじめフェアにルールは示しましたよ」というのが手口だった。当たり前のことが盲点に入り、意外に見えて驚きを呼ぶわけだ。(解説より抜粋)
だが、本書は「この世界」の姿とその哀しさが立ち上がるのだ。特に犯人の特異性は素晴らしいインパクトを読者に抱かせるのだ。