rirasoujiken’s blog

このブログは、鬱病(離人症、乖離。自立支援、手帳3級)である管理人が主にミステリーの読書感想文をアップします。何卒、ご笑覧下さいm(_ _)m

読了しました。

『人さらい』

翔田寛

小学館文庫

静岡県警・日下悟」シリーズ

本書は、2019年9月に小学館より単行本として刊行された作品を加筆修正し、文庫化したものです。

2024年8月11日 初版第一刷発行


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静岡県警浜松中央署の日下悟警部補のもとに、少女誘拐事件発生の一報が入った。身代金の要求額は一億円。運搬役には母親が指名された。静岡県警は総力を挙げて解決に乗り出すが、混雑する《浜松まつり》会場や何台ものタクシーを駆使した犯人の策謀に翻弄され、事件は最悪の形で幕を閉じる。一億円は奪われ、少女は遺体で発見された。捜査本部を設置した静岡県警は、辣腕銀行員として恨みを買っていた父親の身辺、身代金を抱えて奔走した母親の証言、事件中に爆発炎上した車の残骸などから犯人特定へ肉薄するが__。乱歩賞作家が放つ、驚愕必至の誘拐ミステリ。

 

本書の帯の惹句に「今“誘拐”作家と言えばこの人である」と宮部みゆきが推薦(讀賣新聞 2018年10月21日朝刊より)している通り、翔田寛は誘拐ミステリを得意にしている。本書も驚愕の真相を盛り込んだ秀作である。

プロローグのちょっとした新聞記事が最後に大きく物語を変容させる伏線になっていたとは、全く気付かなかった。筆運びも流石のうまさで、今、誘拐ミステリと言わず警察ミステリを書かせたらどの作品をとっても、水準以上である。このシリーズも読んで行く予定である。