『教室が、ひとりになるまで』
浅倉秋成
解説・千街晶之
角川文庫
令和3年1月25日 初版発行
令和5年5月15日 13版発行
北楓高校で起きた生徒の連続自殺。ひとりは学校のトイレで首を吊り、ふたりは校舎から飛び降りた。「全員が仲のいい最高のクラス」で、なぜ__。
垣内友弘は、幼馴染みの同級生・白瀬美月から信じがたい話しを打ち明けられる。「自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」
本書は学園ミステリであり、特殊設定ミステリでもある。
友弘らは決して名探偵ではなく、少し特殊な力(犯人探しには不似合い)で、特殊設定に沿った推理をし犯人を特定するが……
本書の読みどころは、(私にとっては)謎解きではなく最後にあらわになる動機にある。
その動機は、恐らく同じ境遇にあった者にしか解らないであろう。
地味な小品ではあるが、(私にとっては)秀作である。