『水族館の殺人』
青崎有吾
解説:飯城勇三
2016年7月25日 初版
2023年4月14日 10版
本書は、裏染天馬シリーズの第2弾である。
夏休み中に丸美水族館で、サメが飼育員の男性に食いついている。警察の調査で浮かんだ容疑者は11人、しかもそれぞれに強固なアリバイが。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃に連絡を取った。あの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。
今回の依頼はアリバイ崩し。
多過ぎる容疑者と少な過ぎる手掛かりから、容疑者を絞り込んでいく様が正に論理的で素晴らしい。今作でも前作同様1度は推理が破綻するが、最後に関係者全員を集めて推理を確実に進めていく。
勿論、登場人物たちは個性的で青春小説としても1級品だ。
裏染天馬の妹まで登場するサービスまである。
元版では「読者への挑戦状」は無かったが、文庫化に当たって「読者への挑戦状」が付け加えられた。正に「平成のエラリー・クイーン」の名に相応しいケレン味溢れる手法である。
また裏染天馬は、今回も犯人の殺人動機に拘っている。何故ここまで動機に拘るのかは、まだ解らないが、何か理由はあるはずだ。
それを推理してみるのも楽しいかも知れない。