rirasoujiken’s blog

このブログは、鬱病(離人症、乖離。自立支援、手帳3級)である管理人が主にミステリーの読書感想文をアップします。何卒、ご笑覧下さいm(_ _)m

読了しました。

『左遷捜査 法の壁』

翔田寛

双葉文庫

双葉文庫のため、書き下ろされました。

2018年11月18日 第1刷発行


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「そんなことは自分の頭で考えろ!」警視庁捜査一課に配属された26歳の目崎敦史は指導係のベテラン刑事・棟方国雄からどやされてばかりいる。「辞めさせデカ」の異名をとる棟方の厳しさに反発も覚える目崎。しかも棟方は独断専行タイプで、課内では冷遇状態である。__石神井公園の殺人現場に二人は急行する。被害者は少年時代に強姦殺人を犯した人間だった。違和感をすくい、足を使った捜査で摑みとった衝撃の真実とは!?徐々に連携を強める昭和と平成の“年の差バディ”シリーズ、心揺さぶる第一弾!

 

本書はじっくり腰を据えて読み込むべき警察小説である。「法の壁」とは、「少年法」のことである。二人組の少年らに藪の中に拘束された女子高生。しかし、一人は怖くなって逃げ出し、もう一人が強姦したのち首を絞めて殺したのである。悪略な手口であったにも関わらず、犯人は「少年法」の壁に阻まれ、軽い刑罰の結審しか下されなかった。こういった背景をもった刺殺事件……。

刺された場所は背中に二箇所。その一箇所が致命傷になった。遺体検分の際、棟方はある違和感を感じた……。

堅実な警察小説である。刑事たちの執念の捜査で掴んだ様々な証言や証拠から、容疑者の当たりをつけるが実は……。

棟方と目崎の会話も楽しい。秀作。