『女王はかえらない』
降田天
解説・千街晶之
第13回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
本書は、2015年1月に小社より単行本として刊行された『女王はかえらない』を文庫化し、加筆修正したものです。
2016年1月22日 第1刷発行
小学三年生のぼくのクラスでは、マキが女王として君臨し、スクール・カーストの頂点に立っていた。しかし、東京からやってきた美しい転校生・エリカの出現で、教室内のパワーバランスは崩れ、クラスメイトたちを巻き込んだ激しい権力闘争が始まった。そして夏祭りの日、ぼくたちにとって忘れられないような事件が起こる__。伏線が張り巡らされた、少女たちの残酷で切ない学園ミステリー。
本書は、三部構成になっており、
第一部 子どもたち
では、主人公の「ぼく」の一人称視点で3年1組のクラスの様子が描かれており、最後に事件が起こる。
第二部 教師
では、三人称視点でクラスの様子が描かれており、徐々に3年1組の担任である「私」の一人称視点になり、途中で事件が起こるが、最後には解決する。
第三部 真相
では、「私」の一人称視点で3年1組の事件の真相が描かれている。
スクール・カーストやいじめの問題などは特に目新しいものでもないし、トリックにも前例があるが、細かい伏線を回収し、様々な仕掛けが立ち上がってくる。
なにより、その筆力に騙される快感が良い。