『鬼の哭く里』
中山七里
光文社
四六ソフトカバー
初出 「ジャーロ」75号(2021年3月)~84号(2022年9月)
2024年5月30日 初版1刷発行
岡山県姫野村。人口300人にも満たないこの限界集落は、令和の現在も70余年前の呪縛を恐れていた。村人6人を惨殺した巌尾利兵衛の呪いにより、数年に一度、村にある鬼哭山から利兵衛の咆哮が轟き、村人を殺すというのだ__。
新型コロナ感染症でパニックに陥る最中、一人の男が東京から移住してきたことをきっかけに、呪いの犠牲者と思わしき死者が出てしまい……。
想像できない結末が読者を待つ本格伝奇推理!
う~ん……。微妙。
勝手に『八つ墓村』の様な作品を期待していた私が悪いのだが、文章が余りにもライト過ぎて、村の因習のおどろおどろしさが全く味わえなかった。
かと言って、「本格ミステリ」として特筆することもない中途半端な作品に終わってしまっている。”どんでん返し”の方も予想していた通りで、全く驚けなかった。
村の因習とコロナ感染症との相性も悪く、失敗に終わっている。
古さと新しさの融合を狙ったのであろうが、何せ”古さ”そのものが感じられなかった故に、それも上手くいったとは言い難い。
中山七里にしては「凡作」であると結論付けざるを得ない。