『風ケ丘五十円玉祭りの謎』
青崎有吾
解説:村上貴史
2017年7月21日 初版
2022年12月9日 4版
「裏染天馬シリーズ」の短編集。
短編5作とおまけが収録されている。
実際に裏染天馬が日常の謎を論理的に解き明かすのは、最初の4作品で、最後の作品で謎を解くのは、妹の鏡華。
謎そのものは日常の些細な出来事なのだが、それを論理的に解き明かすところは、さすが青崎有吾と言ったところか。
解説にも書かれている通り『競作 五十円玉二十枚の謎』へのオマージュを思わせる表題作では、裏染兄妹の推理合戦(?)を仕掛けてみたり、色々と苦労の跡が見うけられる。
正直、やはり長編に比べると食い足りないが、それはパズラーの宿命みたいなもので仕方のないことでもある。
それでも、あくまでパズラーを押し通す姿勢は評価に値する。
そして各々の登場人物を深掘りしているのも「青春小説」ぽくって良い。
そして「おまけ」は、今後のシリーズに影を落とす1品となっている。