rirasoujiken’s blog

このブログは、鬱病(離人症、乖離。自立支援、手帳3級)である管理人が主にミステリーの読書感想文をアップします。何卒、ご笑覧下さいm(_ _)m

読了しました。

『毒入りコーヒー事件』

朝永理人

宝島社文庫

『このミス』大賞シリーズ

2023年8月18日 第1刷発行


f:id:rirasoujiken:20240602172918j:image

自室で毒入りコーヒーを飲んで自殺したとされている箕輪家長男の要。「遺書」と書かれた便箋こそ見つかったものの、その中身は白紙だった。十二年後、十三回忌に家族が集まった嵐の夜に、今度は父親の征一が死んだ。傍らには毒入りと思しきコーヒーと白紙の遺書__要のときと同じ状況だった。道路が冠水して医者や警察も来られないクローズドサークル下で、過去と現在の事件が重なり合う。

 

おそろしく簡単な事件かと思わせておいて、とてつもなく深い真相が語られる様は、まるで芸術作品を彷彿とさせる。

文章の上手さと相まって、作者の語りには惚れ惚れしてしまう。

そして幾重にも重ねられた謎が浮かび上がってきた、そのとき小説の余韻に読者は浸れるであろう。