rirasoujiken’s blog

このブログは、鬱病(離人症、乖離。自立支援、手帳3級)である管理人が主にミステリーの読書感想文をアップします。何卒、ご笑覧下さいm(_ _)m

読了しました。

『しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人』

早坂吝

光文社

四六ソフトカバー

本書は「ジャーロ」77(2021年7月)号~84(2022年9月)号に掲載された「迷宮(す)いり」を改題し、加筆修正した作品です。

2023年5月30日 初版1刷発行

2023年12月30日         3刷発行


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「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが開放される」

女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。

姿を見せないゲームマスターは六つの未解決事件の犯人を集めたと言うが、ここにいるのは七人の男女。全員が「自分は潔白だ」と言い張るなか、一人また一人と殺害されてゆく。生きてここを出られるのは誰なのか?そしてゲームマスターの目的は?

 

本書は陳腐な「バトルロワイヤル」もどきに思われるかも知れないが、れっきとした本格ミステリ+警察ミステリである。

犯人視点の「しおかぜ市一家殺害事件」が最初に描かれ(この時点で伏線が描かれている)、その後に「迷宮牢の犯人」が描かれる。

ここでまず読者はある疑問(違和感)を持つはずだ。

殺人事件の途中途中に「捜査」が挟み込まれ、女名探偵・死宮遊歩の体験談や推理について議論が交わされる。そしてその違和感の正体が明らかにされると、読者はきっと「やられた」と思うはずだ。

あそこまで露骨なまでの伏線に気付かずに、筆者も見事な迄に騙された。

読者には分からない「証拠」があったのはアレだったけれど……。