rirasoujiken’s blog

このブログは、鬱病(離人症、乖離。自立支援、手帳3級)である管理人が主にミステリーの読書感想文をアップします。何卒、ご笑覧下さいm(_ _)m

読了しました。

『風神館の殺人』

石持浅海

PHP文芸文庫

2022年5月23日 第1版第1刷

本書は、2018年11館にPHP研究所から刊行された『崖の上で踊る』に加筆・修正を行い改題したものです。


f:id:rirasoujiken:20240608173945j:image

高原の保養施設「風神館」に集まった10人の男女。彼らの目的は、自分たちを不幸に陥れた企業の幹部3名に、死を以って償わせること。計画どおり1人目を殺害した彼らが目にしたのは、仲間の1人の変わり果てた姿だった。誰かが裏切ったのか?!このまま復讐計画を進めるべきなのか?!皆が疑心暗鬼にかられる中、さらに仲間が殺されてしまう……。信頼と猜疑が交錯する密室ミステリの秀作。

 

最初にひとつ訂正をしておく。本書には密室は登場しない。因みにクローズドサークルでもない。犯人は逃げ出そうと思えば、いつでも逃げられた。

但し、外部からの侵入はありえない。そこは作品内で確認されている。

ただ、登場人物たちは皆復讐者であり、殺人者であるから、警察の関与という選択肢はない。

もちろん救急車も呼べない。

復讐を完遂するまでは捕まるわけにはいかない。そういった状況で起こる連続殺人……

仲間の中に裏切り者がいる?

緊迫した舞台で始まる犯人探し。

奇抜な発想で紡がれた本作は、本当によく出来たミステリである。