『アルファベット荘事件』
2021年10月15日 初版
創元推理文庫版あとがき
2002年、白泉社から刊行
雪が舞う岩手県の山奥、アルファベットのオブジェが散らばる『アルファベット荘』に集まった個性的な面々。だが屋敷の主は現れぬまま夜が更けていく。翌朝、いわくつきの美術品『創生の箱』から招待客の死体が見つかるが、そこにいくために通らねばならない庭の雪に足跡はなく……。売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が幻想的な事件を解き明かす!
本作は、北山猛邦が学生時代に書いた作品で、長らく入手困難だった初期長編を創元推理文庫で復刊したものである。
文庫化にあたり、作者が若干修正したが基本的には元版と同じものだと思ってくれて構わない。
トリックメーカー北山猛邦らしい足跡のない殺人を扱い、奇抜なトリックを持ちいている。
私は、特にプロローグに関心した。若干若書きの感は否めないが、幻想的な雰囲気作りに成功している。それがなければ、本作はつまらないものになっていたであろう。